流し読み

俺にまつわるエトセトラ

野球場探訪記Vol.1「札幌市円山球場」

俺が過去に訪れた球場、そしてこれから訪れる球場の記録を残しておくことにした。ということで、1回目は札幌市円山球場である。

 

札幌市円山球場は、札幌市中央区宮ヶ丘にある野球場である。札幌市民には「円山球場」の愛称で親しまれている。

俺が初めてここを訪れたのは、高校1年生の時だ。そのときのことは、わりとよく覚えている。高校の講習をサボって野球を見に行くことにしたのはいいのだが、あいにくファイターズは遠征中で札幌ドームではその日試合がなかったのだ。それに当時は高校生、数千円するプロ野球の観戦チケットはそうそう気軽に買えるものではなかった。そこで思い付く。そうだ、円山球場高校野球をやっていたはずだ!

というわけで地下鉄東西線に乗り、円山公園駅で降りる。円山球場は、駅から動物園方向に上り坂を15分程度歩く。高校生だった自分はあまり堪えなかったが、お年寄りはみんなしんどそうだった。JRバスを使えば近いのだが、料金をケチりたい卑しさを「運動になるから」と誤魔化していたのを覚えている。

さて、左手に動物園を見ながら歩けば、球場に到着だ。両翼98m、センター117mのやや狭いつくりである(横浜スタジアムとほぼ同じ大きさ)。しかし、昭和10年に開かれた歴史あるこの球場は、その狭さにこそ年月を重ねてきた味わいや趣があると俺は思う。

チケット代を払う。当時、高校生は学生証を見せれば100円でその日行われる試合全てを観戦可能だった。これは金なし高校生には大変有難い価格設定で、100円で野球が4試合も見られるというのは至福極まりない話だということはお分かりいただけると思う。俺はいつも御機嫌で学生証と100円玉を当番校の野球部員の方へ出していた。

階段を登る。いつも思うのだが、野球場へ来て一番ワクワクする瞬間は、この階段を登ってフィールドが見えてくるときではあるまいか。これは野球観戦好きの方々にぜひ訊いてみたい。俺はいつも階段を登り切ってフィールドが見えるとゾワゾワっと鳥肌が立つのだ。

さあ、球場の風景が見えてきた。選手たちの掛け声、ブラスバンドの演奏、そして土埃の匂いが強くなっていく。暗い通路を抜けて、視界が一気に光に包まれる。

 

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※写真は2016年に撮影したもの。以下も同様。

本当は毎回朝イチで並んで銀傘の下の席を取りたいのだが、いつもそう上手くはいかない。南北海道大会決勝戦にでもならない限りはそうそう座る席には困らないが、それでも銀傘の下は流石にいつも埋まる。仕方なしに、真夏の炎天下にうちわとフェイスタオルを持って野ざらしの席に陣取る。

外野スタンドには、地方球場あるあるの芝生が広がり、バックの山々と相まって非常に牧歌的な風景を見せてくれる。レフトスタンド奥に木が生えているのも特徴的で何とも面白い。
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また、この円山球場、食堂のカレーライスがめちゃくちゃに美味しい。高校時代、観戦に来たらどんなに暑い日でも必ずカレーを食べた。プラスチックの楕円形の容器に入った、あの昔ながらのカレーライスが本当に懐かしく、思い出すとまた食べたくなってしまう。数年前に食堂の方の体力的なことでやめてしまい、その後別の事業者によって再開したと仄聞したのだが、今、あの飛び切り美味しかったカレーライスはどうなっているのだろうか……。

 

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試合終了、一礼。ナイスゲームをありがとうございました。

 

円山球場は、夏の選手権の南北海道大会およびその札幌支部予選、春期・秋季北海道大会、札幌六大学野球リーグ戦等々、様々な道内の野球公式戦に用いられる。札幌の野球好きにとっては札幌ドームと並んで欠かせない場所(ドームはもうすぐ用済みになるが)である。

ここを舞台に、駒苫田中将大投手(現楽天)と北照植村祐介投手(元日本ハム)の白熱した投げ合いや、東海大四の西嶋亮太投手(元JR北海道野球部)のスローカーブや、他にも数多のドラマチックなシーンがあったのだ。

俺にとって極めて思い出深い場所であり、このご時世が過ぎ去って、また野球を心置きなく見られるようになったら、必ず行きたい球場だ。近い将来、また野球が思い切り楽しめることを願って……。