流し読み

どうでもいいこと

青空

あれは、一度目のフリーター時代の、夏のことである。いい加減に正社員として就職しようと重い腰を上げ、いくつかの求人に応募するも当然ながら書類落ちし、落ち込んでいたある日だった。幸運にも、とある清掃会社の面接に合格し、体験入社をした上で入るか…

サツキマスのいた川

『サツキマスのいた川』という絵本を、皆さんは読んだことがあるだろうか。 サツキマスのいた川 (写真でつづる自然と人の物語) 草土文化 Amazon 昔、俺が通っていた小学校の図書室に、この本は置いてあった。絵本というより、正確には写真集かもしれない。初…

華金の夜

仕事帰り いつもの道を一人歩く 信号待ち 白い息に笑顔のカップル 照れ笑いして 手を握り合う 窓ガラス 結露の向こうに一家団欒 笑い声と カレーの香り 眼鏡の曇り わざと拭わず マスクの下で 唇を噛む

初恋

小学校へ入学した頃のことでした。たまたま隣の席になった、ユミちゃんという女の子がいました。ユミちゃんはいつもニコニコとしていて、愛嬌のある女の子でした。ユミちゃんは僕に名前を尋ね、そして「友達になろう」と言いました。僕は当時から、背は高く…

零細IT企業物語

桜の木が花びらを散らし、春の暖かい日差しが徐々に強さを増してきた初夏、俺は会社を辞めた。僅かな期間の勤務だったが、非常に濃密な時間だった。この「濃密」というのは、もちろん悪い意味で、ということである。あらゆる悪意、例えば軽蔑、嫉妬、欺瞞、…

野球場探訪記Vol.1「札幌市円山球場」

俺が過去に訪れた球場、そしてこれから訪れる球場の記録を残しておくことにした。ということで、1回目は札幌市円山球場である。 札幌市円山球場は、札幌市中央区宮ヶ丘にある野球場である。札幌市民には「円山球場」の愛称で親しまれている。 俺が初めてここ…

実録!恐怖体験「コロナ禍での転職活動」

先日、ようやく新しい仕事が決まり転職活動が終わった。転職活動は新卒の就活とは訳が違うと前々から聞いてはいたものの、コロナ禍の影響による転職市場のかつてない不況もあり、いざやってみると想像をはるかに越えるハードさで、精神と貯金を恐ろしい勢い…

カレーライス地獄

先日の夕方、自宅でカレーライスを作っていた。一人暮らしなので、カレーのルーさえ沢山作ってしまえば、その後しばらくは料理の面倒臭さからは解放されることになる。代わりに2日ほど朝晩カレーが続くが……。何より、やはりレトルトではなく自分で作ったカレ…

冬の空

今年の三月に大学を卒業し、その後紆余曲折の末に社会人の端くれになった。平日は毎朝スーツを着て電車に乗り、会社の最寄り駅まで揺られる。幸い職場の雰囲気や労働環境はそこまで悪くないので、とりあえず数年は続けてみるつもりである。 職場にある自分の…

父と酒

俺の父親は、極めて酒好きな男である。週末の晩酌を楽しみに仕事をしているような節が多々あり、特に日本酒への造詣が深い。息子の俺が酒のことを少し訊ねると、嬉々として色々話してくれる。一番の趣味が酒であるから、それも自然なことだろう。酒屋へ行く…

陽キャラ

現在のインターネット社会に「陽キャラ」「陰キャラ」という概念が生まれてから数年が経過した。既に皆さんご存知かとは思うが、俺は相当な陰キャラである。たぶん性格的に一生陽キャラにはなれないだろう。 この辺の概念は、元々「リア充」の対義語として「…

カッコつけたい時期

思春期の男子は、基本的にカッコつけたがる生き物である。今になって振り返ると呆れ返るほど馬鹿なことをカッコいいと思っていた訳で、あの頃女子にウケると思ってやっていたことはだいたい何とも思われていないかダサいと思われていたかの二つに一つだった…

温泉と父

僕の実家がある町には、小さな温泉がある。幼少期からよく行っていたように記憶しており、今でも帰省するとたまに連れていかれる。 小学校に入るか入らないか位の頃から、父に連れられて時折温泉へ出掛けた。臆病な子供だった僕は、当時まだ風呂で頭を流すと…

食事の思い出

まだ小学生だった頃、僕は毎日のように野山で遊び回る田舎の少年であった。学校から帰ると虫採りへ行き、昆虫のいない冬は橇で雪山を滑り、腹が減ったら家路についた。 小学生の僕は、痩せた子供だった。なのにかなりの大食いで、両親によく不思議がられたも…

文章をうまく書く

文章力とは、どのような力なのだろうか。少し面倒な言い方をすると、今回は「文章をうまく書くこと」について文章を書く。 1.基本的な文章の巧拙 文章を書く目的は、大方の場合「他者に何らかのメッセージを伝えること」だろう。日記や個人的なメモなど、そ…

ゲームへの眼差し

俺の実家はテレビゲーム禁止の家庭だった。これは今時わりと珍しいことのようで、周囲でそういう家庭環境に育った人は現在に至るまで寡聞にして知らない。姉が小学5年生のとき、誕生日にDSを買ってほしいと父親にねだったことがあったが、とりつく島もない様…

少年から青年への目覚め─川原にて─

※この記事には性的な記述が含まれています。そのことに留意された上で、それでも良いという方のみ、以下の文章をお読み下さい。 小学校4年生か5年生の時だったと思うのだが、ある休日に自転車で出かけた。何か明確な目標があったわけではないが、ただ漠然と…

素直じゃない「素直」

素直になれ? 突然だが、皆さんはこんな経験をしたことはないだろうか。 例えば、あなたは最近恋愛に冷めていて、しばらく恋人など別に欲しくはないなと考えている。今の生活にも満足しており恋人がいない寂しさも特筆するほどではなく、結婚についても焦る…

恐怖と自責

毎日が恐怖の連続である。起きてから眠るまで、休む間もなく様々な恐怖が襲ってくる。 間断なく、一寸先も見えない将来のことが恐怖として襲い掛かって来る。1年後の僕はどうなっているのか、恐ろしくてたまらない。あらゆるネガティブな想像が絶えない泉の…

方言

方言。地方出身でその辺色々悩んだという方もいるだろう。僕も頻度は高くないが、たまに指摘される。「~だべや」「~しょや」「~だべなぁ」「したっけさ」等の接尾語や接頭語は癖でついつい使ってしまうことが多い。また、命令形も例えば「やめろ」→「やめ…

ハイライト

僕は喫煙者だ。最近の世の中は嫌煙の潮流があって少し肩身が狭いが、実際副流煙は非常に健康を害するから仕方ないことだろう。まあとにかく、今回は喫煙の害やらたばこ条例やらの社会的な話がしたくてこの記事を書いている訳ではないので、その辺のことにつ…

悪夢

自分の身体から血が抜けていく。だんだんと身体が冷たくなっていくのが感じられる。深い海の底へ底へと沈んでいくような、そんな気持ちがする。どうやら俺は死ぬらしい。そんなことを考えたあたりで死ぬ。そんな夢を見た。 自分の布団に他の誰かがいる。どう…

あの頃

小学生の頃、田舎に住んでいた。近所の森にヒグマやシカが出たり、バスが一日に来る本数が一桁だったり(今調べたら一日上り下りともに7本だった)、庭にキツネが出たりするくらいの田舎である。鉄道は走っていない。コンビニは一番近いところで、坂道を20分…

時間の流れとは

時が流れるというのはどういうことだろうか。我々は日常的に時計やスマートフォンの時刻表示などで時間を見ているし、あらゆる人は時の流れの中に生きている。時間というのは川の流れのように、いつも先へ先へと進んでいて止まることはない。考えるまでもな…

書評『一房の葡萄』

今回はかの有名な文豪、有島武郎の書いた童話『一房の葡萄』を取り上げる。これは僕が最も好きな小説のうちのひとつで、初めて読んだ小学生の時からいつ読んでも変わらぬ輝きと、独特の、タイトル通り葡萄のような切ない酸っぱさを感じさせる、沢山の方に読…

教育格差への僻み

以前このブログでも取り上げた通り、俺は北海道の片田舎で生まれ育った。小さい頃はまわりの世界が全てだったし、地元の1学年1クラスしかない小さな小学校に通うことにも、バスにしばらく乗らないと塾へ(塾と言っても東京にあるような上等なやつではない)…

学生野球の投手球数制限について

先日、首都大学野球連盟が投手の球数制限のガイドラインを導入するというニュースを見た(下記URL参照)。第1戦に先発した投手は、121球以上を投球した場合、翌日の第2戦では50球以上の投球を禁止するという、投手の故障リスクを少しでも減らそうとする画期的…

ゴジラ映画の不思議な現象

前回と打って変わって今回は完全に趣味の話。まだ小さい頃、かの有名な東宝の映画『ゴジラ』シリーズに随分ハマっていた記憶がある。しかし、このシリーズには独特の法則(或いはお約束というか製作上の都合というか)があり、今思うと少し奇異なものであっ…

いつか死ぬ

当たり前だが、人は皆いつか死ぬ。僕が生きているうちに不老不死の技術でも開発されれば別だが、今のところは出来ていないようだ。ほんの少し前に自分の意志とは無関係にこの世に生を受け、そしてたちまち死んでしまう。人間とは、そのようにできている。 お…

書評『木橋』

今回紹介する本は、永山則夫作『木橋』である。永山則夫と言えば、かの有名な連続ピストル射殺事件を起こし1997年に刑死した元死刑囚である。逮捕当時は読み書きもままならないほどであった彼だが、獄中で勉学を重ね、自己の体験を振り返る形で文学を発表し…