流し読み

俺にまつわるエトセトラ

アサガオと夏の話

小学生の頃にアサガオを育てた経験は、誰しも一度はあることだろう。夏の朝に、露を纏ったアサガオの花が咲いたのを初めて見たときの純粋な感動は、私の懐かしき幼少の思い出である。

アサガオ花言葉は「はかない恋」「固い絆」「愛情」だそうだ。「はかない恋」は花が短命であることから、「固い絆」は支柱に蔓をしっかりと絡ませることが由来となっているそうである(「愛情」の由来は調べても出てこなかった)。個人的には、最初の「はかない恋」がアサガオの爽やかで儚げなイメージとマッチして最も好きな花言葉だ。

アサガオは、ヒマワリと並ぶ著名な夏の花である。暖色の花弁でエネルギーに溢れ、力強さを感じるヒマワリに比べると、アサガオは些か地味かも知れない。しかし、そのひそやかな美しさ、儚い輝きが私の心を捉えてならない。

 

夏という季節には、他の季節にはない特別な何かがあると思う。それは風鈴の音色であったり、うだるような暑さであったり、そしてノスタルジアであったり……。私の貧弱な語彙ではうまく説明できないが、強烈なエネルギーの裏に隠された空虚さ、物悲しさのようなものが夏という季節を形作っているように思われる。不思議なもので、ネガティブな意味の単語は夏と合う(と私には感ぜられる)。夏と死、夏と孤独、夏と寂寥、夏と空虚さ……。

もうすぐ夏がやって来る。今年の夏は、どんな日々が私を待ち受けているのだろうか。