流し読み

俺にまつわるエトセトラ

運動音痴

運動音痴だ。幼少の時分から、運動会は唾棄すべき対象であったし、体育の徒競走はいつも最下位だった。私の強烈な肉体的劣等感は、このような体験に起因すると思われる。体が弱く、同級生にモヤシとからかわれることも多かった。子供は残酷だ。私のそういう肉体的繊弱さは、容易に苛めの対象たりえた。小学生の頃に、私の顔色が青白いからという理由で苛めっ子の同級生からお化けと呼ばれていたことを、私は今でも克明に記憶している。恐らく私をそう呼んでいた彼らは、今となってはそんなことなど覚えてはいないだろう。

こういった少年が、周囲を密かに見下し自己を特別視することで自尊心を守ろうとするのは、読者諸賢も想像に難くない筈だ。所謂ネットで言われている中二病的なものだが、私にもそんな時期があった。私のためだけに用意された荘厳たる使命が此の世界の何処かにあるような気がしていた。

最近、ランニングをしている。適度な運動で健康を保とうとするという目的の他に、もうひとつの狙いが存在している。小さい頃からの肉体的劣等感を少しでも克服し、その引け目の解消を以て自信を得ようというものだ。これからも続けたい。もしかしたら次に同期の友人と会ったときには私の肉体的変化に彼らは驚愕するかも知れないなと考えて、密かにほくそえんでいる。